家具や照明を選ぶのは楽しい。
でも、部屋が本当に「素敵」と感じられるようになるのは、実はそのあとに置く小さなもの次第だったりするのではないかと私は思います。

そのことに気づかせてくれたのが、私にとってはイームズハウスバードでした。
初めて見たときは、正直「ただの黒い鳥の置物じゃないか」と思っていました。
(ちなみにわたしは鳥が大の苦手)
ところが棚にひとつ置いてみると、部屋の空気がふっと変わったんです。
うまく言葉にできないのですが、視線がその一点で少し止まって、そこから部屋全体を見渡すような、そんな不思議な効果がありました。
そして、イームズ夫妻が愛した、一羽の鳥。
面白いのは、このハウスバード、実はイームズ夫妻がデザインしたものではないということです。
もとはアメリカの民芸品として作られた木彫りの鳥で、夫妻はその素朴な造形に一目惚れして買い求め、自邸「イームズハウス」に飾っていたようです。
デザイナーが「作った」のではなく、「見つけて、選んで、暮らしに迎えた」というのが素敵なところ。
この距離感が、なんだか自分の部屋づくりの感覚にも近い気がして、勝手に親近感を覚えています。
イームズ夫妻は「良いデザインとは、特別なものではなく、日々の暮らしを豊かにするもの」だと考えていたそうです。
この鳥を見ていると、その言葉の意味が少しずつわかる気がします。

実用性は、まったくなく、ただ飾ってあるだけの木の塊。
それでも、朝カーテンを開けたとき。
仕事に疲れて帰ってきて、なんとなく視線が棚に向いたとき。
そこに小さな鳥がちょこんといるのを見ると、なんだかホッとします。(鳥への偏見が少し和らぎました)
そのくらいの、些細で、でも確かな豊かさをくれる存在だと思います。
長く使える家具を選ぶように、長く一緒にいられるものを、ひとつだけ迎えてみる。
それだけで部屋の景色は、思っている以上に変わるんです。
もし気になったら、お気に入りの家具や照明のそばに、この小さな鳥を迎えてみてほしいです。
きっと、あなたの部屋にも「ちょうどいい温もり」が生まれるはずです。
スラップモブラー本店/井手
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