JOURNAL vol.5-1  理想を言葉にできなくても。

JOURNAL vol.5-1 理想を言葉にできなくても。

デザイナーと一緒に叶えた、景色と暮らしを楽しむ住まい

「キッチンをもっと使いやすくしたいんです。でも、見た目も妥協したくなくて……」
「家族でサウナが好きなんです。マンションでもできるものなんでしょうか?」
リノベーションの打ち合わせ初期に、お客様が口にしたのはそんな何気ない言葉でした。明確なプランがあるわけではなく、「こうなったらいいな」というふんわりとした理想。その想いを丁寧に聞き取り、ひとつひとつ形にしていくことで、今の心地よい住まいが完成しました。

Data.  A's apartment.   Full renovation. 88㎡   2025.05/Hiroshima.

景色と暮らしをつなぐ、回遊できる間取り

リノベーションを考え始めたきっかけは、子育てがひと段落し、ご夫婦二人の新しい暮らしをスタートさせたいと思ったこと。立地と広さ、そして「窓の外の景色」に惹かれて築20年の中古マンションの購入を決断し、好きな素材とデザインで空間をつくるため、フルリノベを決意されました。「最初は今使用しているアルファベットソファなどの家具や照明をそのまま使いたいとか、掃除や片付けをしやすくしたいくらいしか言葉にできなかったんです。でも、窓が多くて眺めがきれいだったので、この景色を活かしたいなという想いはありました。」

その言葉から、デザイナーが提案したのは 窓際をぐるっと回遊できる動線。透け感のあるカーテンを一部に取り入れることで光を遮らず、景色をインテリアの一部として取り込むプランです。「窓辺を歩けるようにする」というシンプルなアイデアが、空間の心地よさを大きく変えました。アルファベットソファのようなモジュール型のソファは、座る方向や配置によって空間の印象がガラッと変わります。そこで、最初に“ソファをどこに置きたいか”を軸にして間取りを組み立てました。大きな窓のある面に向けて配置することで、景色を楽しみながらくつろげる空間になっています。

出窓のカウンターには、トラバーチンを使っています。石そのものの表情が光と影で豊かに変化し、季節によっても違う見え方になるんです。家具と同じように素材そのものが主役になる場所を、ひとつでもつくると空間がぐっと締まります。「ソファに座って景色を眺める時間が本当に好きです。朝も夜も、ここが家の特等席です。」ソファのサイズ感にあわせて空間を設計し、窓の配置や素材の選定までトータルで考えることで、後から置く ではなく 最初からそこにある ような心地よさを実現しました。

ダイニングは「家族の時間を楽しむ場所」

お客様が在宅ワークをすることもあり、食事だけでなく“過ごす場所”として機能するように計画しました。限られた空間でもゆったりと座れるテーブルサイズ、照明の高さ、動線などを丁寧に調整しています。その中心に迎えたのは、名作照明 PH Artichoke(アーティチョーク)。昼は自然光と共存し、夜はやわらかな光が空間を包み込むことで、仕事モードから家族の時間へと自然に切り替わる空気が生まれました。
「毎日ここに座る時間が好きになりました。在宅ワークの合間にコーヒーを飲んだり、夜は家族でゆっくり過ごしたり。本当に提案してもらってよかったです。」

キッチンは、デザインと機能性を両立

「アイランドキッチンに憧れがあるけど、油汚れの掃除が心配」という最初の相談。この悩みに対して提案されたのは、コンロを壁付けにしたⅡ型キッチン でした。「海外製の大容量食洗機やクォーツストーンのシンクなど、細部まで機能性を一緒に考えていただきました。アイランド型にしても、コンロは壁付けにすることで油汚れの掃除がしやすいです。黒を基調とした落ち着いた雰囲気もとても気に入っています。家事動線がスムーズになり、二人並んで料理する時間も楽しめるようになりました。」空間全体が視覚的にすっきりと整い、キッチンが“作業の場”ではなく“暮らしを楽しむ場”へと変わりました。

毎日を心地よくする、洗面まわりの工夫

「なるべく掃除の手間を減らしたい」というお客様の言葉を受けて、デザイナーが提案したのは セラミックの洗面カウンター と 壁に取り付けた水栓。洗面まわりは、水がはねたり水垢がたまりやすい場所なので、素材と取り付け方がとても重要です。セラミックは汚れが染み込みにくく、さらに水栓を浮かせることで水ダレや水溜まりを防げます。壁も床も同じタイルで仕上げているので、見た目の統一感と日々の掃除が格段にラクになるんです。

「本当に掃除がラクになりました。前の家では水栓まわりを頻繁にこすっていましたが、今はさっと拭くだけで済みます。清潔感を保ちやすいので気持ちがいいですね。」
機能性だけでなく、見た目の上質さも兼ね備えた洗面空間。美しさをキープしやすいデザインが、暮らしの快適さを大きく左右します。

マンションでも叶えた、自宅サウナ

「家族でサウナが好きなんです。マンションでも可能でしょうか?」そんな相談から実現したのが、自宅サウナです。「まさか本当にできるとは思っていませんでした。ユニットバスの改造で、一人用のコンパクトなサウナをつくっていただきました。とても快適で、今では毎日の楽しみになっています。仕事終わりや休日に気軽に“ととのえる”空間があるのは、本当に最高ですね。」暮らしの質をぐっと高める“小さな贅沢”として、家族全員のお気に入りになっています。

 

つづく

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